ISM - 誘導スカル溶解 - Inductotherm Group Japan Ltd.
×

ISM – 誘導スカル溶解

ISMは、セグメントに分けた水冷銅ルツボ内を真空または雰囲気制御し、誘導コイルで金属の溶解を行う方法です。この方法では耐火材ライニングを使用せず、金属対金属での溶解になります。銅ルツボは水冷セグメントまたは「フィンガー」と呼ばれるものから構成されます。コイルによって生じる磁場がルツボを通り抜け、金属材料に熱を誘導し、この熱によって溶解します。またこの磁場は溶湯を強力にかくはんします。

ルツボの底部には金属の薄層が凝結し、スカルを形成します。スカルに近接した溶湯の境界層、スカル自体、スカルとルツボの接触面などが熱抵抗として働き、高温の溶湯から冷却されているルツボへの熱伝導を緩和します。

ルツボ、コイル、周波数、電力レベルなどの設計が適切であるとき、溶湯プールの側面の溶湯は内側に押され、ルツボ内側の側壁から離れます。

このとき溶湯プールの側面は磁力によって支えられています。側壁と物理的に接触しないので、ルツボのセグメントが電気的に短絡することはありません。さらにルツボ内の熱損失を減じます。ISMプロセスはほとんどの場合、上注鋳造か下注鋳造で利用されていますが、インゴット生産にも利用されています。インゴット生産の場合は、ドローダウン始動プラグの付いたボトムオープンのルツボでゆっくりとインゴットを形成します。この場合原料は上部から投入します。

お見積り依頼

インダクトサームグループジャパン株式会社

神戸市西区南別府1丁目3-10

  • Phone: 078-974-2552
  • Fax: 078-974-6535

特徴

  • 活性金属の場合は金属/ルツボ間で反応が起こるため耐火材ルツボでの溶解ができませんが、ISMでは溶解で反応しない水冷金属製コンテナを使用することができます。また、ISMに代わって利用されることのある真空アークスカル溶解プロセスでは電極の形をした材料しか使用できませんが、ISMではチャンク、プレート、削り屑、高純度スポンジ、またはこれらが混合された材料など、形状を問わず使用することができますので原料コストを大幅に抑えることができます。
  • 超清浄超合金など、介在物含有量をごく微量に抑える必要がある場合は、ISMを利用するとルツボからの介在物混入を防ぐことができます。
  • 金属材料の脱ガス、低蒸気圧の不純物の揮発、無気鋳造を行う場合はISMを真空で運転します。
  • 高蒸気圧合金元素を溶解する場合は合金ロスを最小限に抑えられる圧力でISMを不活性雰囲気で運転します。
  • 化学的相互汚染を気にすることなく様々な合金を引き続き同じルツボで溶解できます。
  • 磁界による強力なかくはんで高温溶解材料も溶融し、化学的にも温度的にも均質にできます。このため、より早い溶け落ち、より良い金型充填(鋳造)、より高い製品品質を得ることができます。
  • セラミックルツボ使用しないので、ルツボ交換する時間を節約でき、装置の生産性を高めます。

仕様

装置構成:
コンサークでは、経済的なバッチ式シングルチャンバから、より生産性を高めるバッチ式ツインチャンバ、自動化マテリアルハンドリングまたは特殊ハンドリング装置付きのマルチチャンバ装置まで幅広く取り揃えております。

誘導電源装置:
電力は、ISMプロセスに適正な出力電力と出力周波数で設計されたインダクトサームのソリッドステート誘導電源装置から供給されます。電力は真空シール水冷同軸回転パワーフィードスルーまたはパワーポートアセンブリで真空チャンバを通って溶解コイルに送られます。

静止鋳造または遠心鋳造:
ISMルツボからの傾動出湯は迅速で、静止鋳造または遠心鋳造のどちらも可能です。遠心鋳造用ターンテーブル装置もチャンバの設計に合わせてコンサークで設計しますので、モールドハンドリングも安心です。

制御装置:
コンサークのISM装置には完全一体型のPLC制御装置を使用しています。オプションでPC SCADAを組み込むこともできるので、さらなる安全性と作業効率性を得ることができます。活性金属の溶解や鋳造には遠隔制御による運転をお勧めします。